EPISODE VI 〜細田君のバレンタイン〜
「ふうぅーー。今日はバレンタインか」 僕は、この日が大嫌いだ。 「お〜〜〜い。細田」 ん?新堂センパイが呼んでいる。 なんだろう? 「あー福沢さん!それと、新堂センパイじゃないですか」 僕の愛しの福沢さんが、なぜ新堂センパイの隣に? もしかして・・・・・・。 「俺はオマケかよ・・・」 オマケ・・・・ではないです、きっと。 「ところで、なんの用ですか?」 ったく、僕は忙しいのに。 まあ、愛しの福沢さんにも会えたからイイや。 「お前にこれやるよ」 こ、これは。僕の大好物のチョコじゃないか。 「えぇーー!いいんですか?ありがとうございます」 バレンタインは嫌いだけど、こういうことがあるからちょっと好きだな。 あぁ・・・新堂先輩は、なんてイイ人なんだ。 ふぶぅーおいしそうなチョコ。 家に帰ってから食〜べよ♪ どうせなら、福沢さんのチョコも欲しかったな。 あっ、贅沢言っちゃダメだな。こんなにチョコが手に入ったんだし。 「さて」 僕が移動しようとした時、目の前には荒井君がいた。 「あーー荒井君じゃないですか」 「やぁ細田君。ちょうど君を探そうと思ってたんですよ。それにしてもすごい  量のチョコですね」 荒井君は1個か・・・勝ったな。 「あぁこれ?僕にもファンがたくさんいるんですよ」 「・・・どうせ、新堂先輩にでも貰ったんでしょう」 ギクギク さすが荒井君だ。侮れないな・・・・・・。 「・・・・・・これあげます。いりませんか?」 「え!?いいの??」 おぉ。荒井君まで、僕にチョコをくれるなんて。 「えぇ。僕は甘いものが苦手なもんで」 荒井君・・・君って意外にイイ人だったんだね。 「ありがとーーーーーーー」 「じゃ、僕はこれで失礼します」 「帰る前に、ちょっとトイレへ行って来よう」 〜2F南側 男子トイレの前〜 「あっ。細田センパ〜〜イ」 「ん?あーー倉田さんじゃないですか」 倉田さんが話しかけてくるなんて珍しいな。何なんだろう? 「これあげます。今日はバレンタインですしね」 倉田さんがチョコをくれるだなんて・・・。 もしかして倉田さんは・・・・。 「く・・・倉田さん!君は僕のことを・・・」 そう言いかけた瞬間。 「あっ。一応言っときますけど、それって義理ですから。まぁ、わかってると  思いますけどね。それじゃぁ」 倉田さんは、その場から去っていった。 「・・・・・・」 ・・・・・撃沈。 「でも僕には、愛しの福沢さんがいるのさ☆」 今年のバレンタインは、例年以上に豊作だなー。 「さー家に帰ってチョコを食べよーー!」 〜細田家(細田君の部屋)〜 「ふーー。大漁大漁」 おいしそーなチョコがいっぱい。 「幸せだなぁ。いただきまーーす」 ―1時間後― 「ふ〜。おいしかった」 80個近くあったチョコが、もうなくなっていた。 「1時間でチョコ80個か〜新記録だな」 あーー。今日はホント幸せだったな。 来年のバレンタインも楽しみだ。 早く来ないかなー? でも来年は、新堂センパイがいなくなってるから、チョコの数が減っちゃうん だろうな。残念・・・
− Fin −


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